水路に波板を運ぶ部員と鈴木組合長(写真奥)

 日頃お世話になっている地域住民への恩返しにと、南部高校龍神分校の野球部15人が24日、地元の山を通る農業用水路に落ち葉などが入って詰まらないよう、板でふたをする作業を手伝った。

 龍神村福井地内では、日高川にある関西電力柳瀬発電所からくみ上げた水の一部を下流の田んぼで利用するため、日高川右岸の山の中腹に延長4・8㌔の水路を設置。今年も田植えシーズンを迎え、農家25軒、水田面積40㌶に供給されている。水路は地元の芝向水利組合が管理しており、1週間に1回の点検、斜面から落ちてくる土や落ち葉の撤去を行っているが、組合員の平均年齢が75歳で、高齢化とともに作業が難しくなってきた。このため、組合では今年度から4カ年で、水路延長1600㍍にプラスチック製の波板でふたをし、落ち葉などが入らないようする計画を立てたが、現場まで板を運ぶ作業も相当な重労働。組合長で野球部後援会長でもある鈴木直孝さん(75)が学校に相談したところ、野球部が協力を快諾した。

 水路は幅約40㌢、波板は長さ約1㍍、幅約50㌢。今年度は水路の延長600㍍にふたをする予定で、この日は山の途中まで軽トラで運んできた波板600枚を、部員たちがバケツリレーの形で水路の脇まで持って来て、さらにそこから600㍍先まで水路沿いの山道を何往復もしながら運んだ。ふたの固定作業は後日、水利組合員が行う予定。野球部も引き続き運搬などを手伝う。

 野球部は、試合の応援や寮の食事などで地域住民の世話になっている。2年生の亀岩寛斗君は「村の方々にいつもお世話になっていますので、野球以外でも何かお返しできる機会があればいいなと思っていました。ボランティアできてうれしいです」。阪本聡教頭(59)は「これまでも地域住民との交流はあったが、これを機会に地域のため龍神分校の生徒しかできないようなことを探していきたい」。鈴木組合長は「作業の手伝いを引き受けてくれて本当に感謝。龍神分校があるおかげです」と話していた。