ステージで意見を交換するパネリスト4人

 日高川の未来を考える県主催のシンポジウムが21日、御坊市民文化会館で開かれ、住民ら約80人が基調講演やパネルディスカッションを通じ、地域全体で水害を防ぐ流域治水の必要性などについて考えを深めた。

 日高川をより安全で魅力ある河川にしていくために開催。パネルディスカッションのテーマは「今後の日高川について」。コーディネーターは和歌山高専の櫻井祥之助教で、パネリストは全国商工会青年部連合会長で日高川町の石倉大裕さん、御坊市自主防災組織連絡協議会長の酒本和彦さん、日高川漁業協同組合参事の前田豊温さん、日高振興局建設部長の柳岡太さんの4人が務めた。

 最初に「安全・安心のために流域治水に何が必要か」について話し合い、石倉さんは「飲食店を経営しているが、大雨が降ると店内まで水が入ってくることがある。洪水の被害情報を地域で共有する必要がある」と述べ、酒本さんは「風水害は情報として事前に把握できる。まず、避難することが重要。行政と一緒になってやれることから対応していかなければ」と指摘。前田さんは「戦前、戦後に植栽されたスギ、ヒノキが伐採され、山からの土砂が流出しやすい状態だ。治水はダムの操作だけでなく、山を守らなければならない」と強調した。

 日高川の未来について、石倉さんは「日高川や地域の魅力を発信するとともに子どもたちに伝えていくことが大切」、酒本さんは「堆積している土や土砂を除去し、きれいな日高川を観光面からPRしていくこともできるのではないか」、前田さんは「子どもたちが川遊びしている光景が昔と比べてめっきり減った。安全に楽しめる親水的な環境づくりも大切だ」、柳岡さんは「日高川の持っているポテンシャルを生かし、『アユ釣りの聖地』などという形で全国に発信できればと考えている」と意見を述べた。