最優秀賞の中井さん

 県4Hクラブ連絡協議会と公益財団法人県農業公社の県青年農業者会議が12日、有田川町の県果樹試験場で開かれ、プロジェクト発表でみなべ梅郷クラブの中井貴章さん(30)=みなべ町筋=の「守れ!ニホンミツバチ 保全大作戦!」が最優秀賞を受賞した。日本一の梅の生産量を誇る同町で、梅の受粉に欠かせないニホンミツバチを守る熱心な取り組みに評価。来年1月に京都で開かれる近畿大会に出場する。

 プロジェクト発表には県内の7人が参加。最優秀賞(知事賞)、優秀賞(県農業公社理事長賞)、奨励賞(県4Hクラブ連絡協議会会長賞)の各1人が選ばれた。近畿大会出場は原則として最優秀賞受賞者のみ。

 中井さんは400年前から続く梅栽培の歴史、ニホンミツバチが梅栽培にもたらす特異性、4年前から飼育者の巣箱から次々とニホンミツバチが消えて巣箱が15分の1に激減したことなどを紹介。今後の梅栽培に危機感を感じ、梅郷クラブのプロジェクトリーダーとしてニホンミツバチを守る活動をスタート。クラブ員で巣箱を製作して設置、ミツバチ飼育の試行錯誤、大学生らの協力、先進地での研修などを経て2年目の昨年はニホンミツバチが巣を作り、良好な状態を保てていると説明した。

 ニホンミツバチが減少している大きな原因として蜜源となる天然林の減少も指摘。対策としてウバメガシやサザンカ、ヤマザクラなど9種の樹木を選抜して、町内で増加傾向にある梅の耕作放棄地に、地元住民や大学生らとともに植樹したことを報告。これらの活動が評価されて、世界農業遺産「みなべ・田辺の梅システム」の住民提案型地域支援事業に採択されたとした。受賞に「自分たちの活動が評価され、素直にうれしい。クラブの仲間と多くの関係者に感謝。今後も活動を継続したい」と話している。

 今回の発表会には中井さんのほか、日高地方から印南町4Hクラブの尾曽匠さんが「印南の農業をひろめ隊」、御坊市4Hクラブの鈴木渓さんが「プロジェクト農園」で出場した。