印南町、運送事業者、商工会、地元区長会、御坊署、国、県の関係機関などでつくる同町地域公共交通会議が27日役場で開かれ、熊野御坊南海バス株式会社(佐伯一也取締役社長)が印南町内で運行している路線バス日裏線の終点を、日裏から新設する川又観音口停留所まで延長することが承認された。今年10月1日から適用される。

 日裏線は御坊市薗の御坊南海バス前から国道425号などを通り印南町の日裏まで走るルートで、現在一日2往復便が運行している。今回、国道425号の改良事業が昨年3月、町内全線で開通したことに伴うルートの新設と変更。新設では日裏バス停留所から約1㌔延長して、途中に小森、終点に川又観音口の2カ所の停留所を増設する。また、これまで旧道沿いに設置されていた滝之口公民館前、古井、田ノ垣内、高串、上洞、川又神社前、川又集会センター前の7カ所の停留所については、国道425号沿いに移設する。

 町では川又観音をシャクナゲの里としてPRしているが、これまでアクセスできる公共交通機関がなく、課題となっていた。熊野御坊南海バスにとっては年間約500万円の赤字路線となっているが、地域の移動手段として一層利便性を向上させようと、ルートの延長を決断した。日裏線の運行に際し、町は年間484万円の補助を出しており、公共交通会議では新たに国庫補助金(地域内フィーダー系統補助)を申請していくことも承認された。

 日裏勝己町長は「便利になってありがたい。川又観音はシャクナゲが咲き、パワースポットでもあり、多くの人に来てもらいたい」、佐伯社長は「地域住民や町外観光客らの利便性向上へ、今後も路線を存続できるよう努力したい」と話した。