格式高い切目王子などを周遊

 印南町は今年度の新規事業で、印南四王子謎解き周遊ツアーを企画している。全国の観光地などで人気となっているリアル謎解きツアーの印南版で、町内の熊野古道四王子を巡り、クイズに正解した人にオリジナル王子カードや町内店舗で使えるクーポン券を進呈。2025年大阪・関西万博のインバウンドを引き込む取り組みとして、熊野古道に関連する周辺市町との連携も視野に入れている。

 リアル謎解きツアーやゲームは近畿でみれば大阪市の「謎の城in大坂城 戦国の世の最終章 関白豊臣秀吉編」、奈良の「陸奥宗光と坂本龍馬が遺した宝を探せ!」などが行われている。印南町内にはかつて熊野詣の途中で儀礼を行った熊野古道九十九王子のうち、中山、切目、斑鳩、叶の四王子があり、高い格式を持つ切目王子には平清盛の天下統一にまつわるエピソードが伝わるなど、歴史の謎に迫る素材がたくさんあることに着目した。

 周遊ツアーは印南漁港内観光・交流拠点「かえるの港」を発着点とし、謎解きパンフレットを購入した参加者が四王子や食事処を徒歩やマイカー、自転車で巡り、クイズを解いていく。このクイズは地元小中学生の協力を得て考案し、子どもたちのふるさと学習にもつなげていく。

 事業実施主体は同町観光協会で、町は当初予算で137万5000円の補助金を計上。今月中に観光協会、町、文化協会、有志団体でつくるプロジェクトチームを立ち上げ、小中学生のフィールドワークやワークショップも交えながら、具体的な周遊コースとクイズを設定。秋にモニターツアーを開催して、来年春からの本格スタートを目指す。塩屋王子、上野王子がある御坊市、岩代王子、千里王子があるみなべ町など、周辺市町と連携してのツアーシリーズ化も考えている。

 企画産業課では「大阪・関西万博では2800万人のインバウンドが想定されている。その一部を呼び込める仕掛けづくりをしていきたい」と話している。