講演する印南町出身の作家辻原さん

 和歌山県誕生150年記念式典が21日、和歌山市の県民文化会館で行われた。

 明治新政府発足後の1869年(明治2年)、紀州藩は和歌山、田辺、新宮の3藩に分かれた。71年(明治4)の廃藩置県でそれぞれ藩から県に変わり、同年11月22日に3つの県と旧高野山領が統合され、現在の和歌山県が誕生した。

 式典には県民ら1200人が参加。「和歌山県のあゆみ」と題した記念映像の上映に続き、和歌山児童合唱団が県民歌を合唱。仁坂知事が「和歌山県はさまざまな困難に見舞われたが、そのたびに力を合わせてそれを跳ね返してきた。現在は新型コロナと戦っている。これからも未来に向けて頑張っていこう」と、歴史を振り返りながら今後の発展を誓った。

 講演では印南町出身の芥川賞作家辻原登さんが、「わが生地、わが聖地・熊野」のテーマで語った。熊野に宿る神々の奥深さや信仰に触れながら、「熊野に接する地が日高地方で、熊野に入るために体を清めた地が印南町の切目だった」などと話し、みなべ町岩代で詠まれた有間皇子の和歌なども紹介した。

 東京大学先端科学技術研究センターフェローの御厨貴さんも「和歌山の近代150年を問う」と題して講演したほか、小中高生3人が「和歌山の未来へのメッセージ」をテーマとした作文を発表。記念演奏は尺八奏者の辻本好美さん(橋本市出身)、ピアニストの中谷政文さん(和歌山市出身)が出演した。