オンラインで説明を受ける参加者

 県が和歌山市のマリーナシティへの誘致を進めている統合型リゾート(IR)の説明会が1日、日高振興局で開かれ、地元住民ら20人が参加した。県担当者は区域整備計画案にまとめられたIRのコンセプトや経済効果、ギャンブル依存症対策などを説明。参加者からは経済や観光活性化への期待の半面、カジノ施設や経営見通しに対する不安などの声も聞かれた。

 会場にはスクリーンが設置され、県の田嶋久嗣IR担当理事らがオンラインで説明。IRのコンセプトは「和歌山の自然資源と世界最先端のテクノロジー」とし、国際会議場、展示施設、魅力増進施設、宿泊施設、カジノ施設などを整備。観光や地域経済への効果、資金計画、防災対策、ギャンブル依存症対策などを示した。

 質疑応答では参加者から交通面や周辺地域への観光客誘致の質問があり、県担当者は「関空からマリーナシティまでシャトルバスで送迎する計画がある。この間の海路をゆったりとクルージングを楽しみながらということも考えられ、マリーナシティから県内の他の地域へ船で行くのもあり」とした。中国が海外カジノ規制を進めている中、「中国人客が見込めないのでは」との指摘には、「中国に偏った集客ではなく、アメリカやヨーロッパからの集客も考えている」と述べた。

 ギャンブル依存症を懸念する声には「世界の事例では厳格な対策で依存症を一定抑えることができており、県はさらに独自の対策で依存症を増やさない取り組みをしていく」、反社会的勢力の介入には「これもカジノを利用する本人名義の口座開設や監視カメラの設置など、厳格な規制をするため大丈夫」とした。

 「計画が希望的観測の印象を受けた。大阪もIR誘致を進めており、両方できれば収入が減るのでは」との声には、「あくまでIRは民設民営で、県が財政負担はしないため、経営のリスクは事業者が負う。2カ所あるシンガポールは共存できており、大阪と県のIRも成り立つ」とした。

 説明会は先月28日の海南市からスタート。1日は日高振興局のほか、各振興局でも開催。和歌山市では2日から6日まで7会場で開かれる。公聴会は12日に海南商工会議所、13日に和歌山城ホール。区域整備計画案に対する県民意見の募集締め切りは10日。県と事業者は、県議会の議決を経て4月28日の期限までに国に区域整備計画の提出を目指している。