県は24日、スマートフォンやパソコンなどに使われる電子部品「積層チップインダクタ」の生産で国内シェアトップを誇る印南町印南原、和歌山太陽誘電株式会社(稲葉一夫代表取締役)が、新工場を増設すると発表した。今後のパソコンや5Gスマートフォンに使われるインダクタの需要増に対応。すでに工場建設が進んでおり、来月中に操業。地元雇用は3年間で30人を予定している。

 1971年4月に設立された中紀精機株式会社が2011年8月から太陽誘電株式会社(本社=東京都中央区京橋)の出資比率100%の子会社となり、15年7月に現在の社名に変更となった。資本金は1億円。従業員数は196人。「お客さまから信頼され、感動を与えるエクセレントカンパニーへ」をモットーに、世界最高水準のものづくりに挑戦。主力製品となっている積層チップインダクタは幅広い電子機器の電子回路に組み込まれる極小の金属部品で、電圧の安定や電気信号の調整に使われており、IT化の時代の流れの中で欠かすことのできない商品。さらにコロナ禍の中、リモートワーク、オンライン会議など働き方が変化し、通信機器の発達による電子部品の需要増加もあり、新工場を増設することになった。

 県、町、太陽誘電の3者が、すでに工場増設のための立地協定を締結。これまで駐車場だった用地に増築を進めており、駐車場は新たに隣接地に整備している。新工場の敷地面積は831平方㍍。投資額は建物と設備を合わせて16億8500万円となっている。仁坂吉伸知事は「積層チップインダクタをつくっている世界的な大手の一つ。県内の生産拠点として増設してくれることになった」などと、今後の発展に期待を込めた。