患者に合わせたリハビリが行える上肢ロボット

 御坊市湯川町財部の医療法人黎明会北出病院は、脳卒中などによる片側の上肢(腕)まひのリハビリを目的にした「上肢用ロボット型運動訓練装置」(上肢ロボット)をリハビリテーション科に導入した。主に肩と肘の自主トレーニングに使う装置で、県内2施設目、日高地方で初めて。限られたリハビリ時間の中でまひ改善に向けた上肢機能練習のための運動量が確保でき、担当者は「患者さまのまひ改善の一助になれば」と話している。

 同科主任で理学療法士の星合敬介さん(39)によると、脳卒中による上肢まひの改善に向けては、上肢機能練習のための運動量の確保が重要。リハビリ時間が限られ、また、自主練習は適切な運動が難しい中、運動量が確保できる上肢ロボット療法を導入した。

 上肢ロボットは、運動を補助するのではなく、患者が自分で動かすことを前提にしており、まひしている腕や手をアームに乗せてモニターに表示される目標点へ、アームを軌道に沿って動かす。期待できる効果は、まひしている上肢の関節癒着や拘縮の予防、関節可動域の改善。前後・左右・上下の3次元で放射状や円状といった軌道の異なる17種類の動作、全介助から自動運動(介助なし)まで介助度の異なる5種類のモードがそれぞれ設定でき、患者に合わせたリハビリが行えるという。

 同病院では回復期リハ病棟に入院中の脳卒中患者と外来患者の一部で使用。適応は、入院が回復期段階の日常生活でまひした上肢を少しでも使いたい人、外来は急性期病院を退院して上肢機能を向上したい人(慢性期段階でも応相談)で、必要条件は自分で背もたれがなくても1時間以上座れる人、週2~3回か3~5回通える人となっている。

 星合さんは「あくまでも一般的なリハビリとの併用が重要で、ロボットを使用しただけでは効果は出にくいです。当院でもロボットを含めて電気治療や日常生活練習等さまざまな方法で上肢運動まひに対してリハビリを実施しています。患者さまの希望や目標、適応に応じ、ロボットを含めた介入を検討、上肢機能の向上や日常生活動作の改善につなげていきます」。「地域の人に知ってもらい、まひ改善の一助になるようにしていきたい」と話している。

 問い合わせは同科℡0738(24)3007。