全日本選手権準優勝カップを手に井元選手

 大学生と高校生球児を対象に、文武両道を実践した選手をたたえる日本学生野球協会の2021年度表彰選手が決まり、御坊市出身で福井工大野球部の井元勘太選手(22)=和歌山御坊ボーイズOB=が選出された。井元選手は4年時の昨シーズン、主将として約180人の部員をけん引。選手としてもレギュラーを勝ち取り、全日本大学野球選手権で同校初の準優勝に導くなど大きな功績を残した。

 大学生は26人、高校生は47人(都道府県から1人)の73人が選ばれた。

 井元選手は昨年6月、第70回全日本大学野球選手権記念大会に主将で7番・二塁手として全試合に出場。神宮球場で行われた決勝戦に初めて進出し、慶應義塾大に敗れたものの、過去最高の準優勝の結果を残した。

 プロ野球選手や社会人野球で活躍する選手を多く輩出する強豪校での主将としては、「人に強く指示する性格ではないので、誰よりも大きな声を出し、練習や準備、片づけを率先する姿勢を心がけた」と話し、行動で監督やチームメートの信頼をつかんだ。勉学第一の野球部の方針通り、スポーツ健康科学科で勉強にも一生懸命取り組んだことも認められた。

 父晴彦さんが監督を務める湯川少年で野球を始め、主将を務めた。中学でも硬式野球の和歌山御坊ボーイズ/ジュニアタイガースの主将で、中学硬式野球の頂点を決めるジャイアンツカップに出場し、東京ドームで選手宣誓も務めた。高校は沖縄尚学に進学し、1年生大会の主将を経験。2、3年では故障もあってレギュラーになれなかったが、大好きな野球を続けたいと福井工大に進学。激しいレギュラー争いを勝ち抜いた。

 受賞に「自分だけの力ではなく、チームメートやここまで野球をやらせてもらった両親、これまで指導いただいた皆さんのおかげ。小中、高校でプレーだけでなく野球に対する姿勢や人として成長することの大切さを学ばせてもらったことが、大学野球でも生かすことができた」と感謝。卒業後は大学の職員として働き、野球部のコーチに就任することが決まっており、「これまでの経験をもとに選手と一緒に成長したい。あと一歩で達成できなかった日本一を目指したい」と抱負を語った。

中高の恩師らも喜び

 中学時代の恩師、タイガースの山﨑幸二会長は「人を思いやる気持ちが強く、東京ドームでの選手宣誓は中学生とは思えない内容で、泣けました。福井工大でも主将を務めたのはまさに井元の人柄。これからも人の手本なってほしい」、西畑卓也監督も「責任感が強く、常に前向きで、表彰を受けるにふさわしい選手。これからも井元らしく頑張ってほしい」とエール。沖縄尚学の比嘉公也監督は「井元は心の折れない強い選手。社会人になっても強い心で挑んでほしい」と激励した。