優良賞の廣田君㊨と支局長賞の沼野君

 農業や食への思いや体験、提言をつづる第49回毎日農業記録賞の入賞作品が発表され、高校生部門で南部高校食と農園科3年の廣田輝人君(18)が県内で唯一優良賞、同科2年の沼野竜久君(17)が毎日新聞和歌山支局長賞を受賞した。

 廣田君のテーマは「梅酢の廃棄処分削減に向けて」。授業で梅干しを漬けた時に出る梅酢の多くが廃棄されていることを知り、有効活用しようと梅塩作りに挑戦したことをつづった。梅の味を引き出しつつ、サラサラ感を出すため梅酢に食塩を入れて一緒に煮詰めたり、梅酢と食塩の比率をいろいろ試すなど試行錯誤を繰り返したことを紹介。目標だった梅塩の商品化は達成できなかったが、「活動を通じて実践、挑戦することの大切さを学んだ。将来は進学先のコンピューターの専門学校でプログラミング学び、農業や食に関することを発信したい」と思いを披露した。「賞を頂けると思っていなかったのでうれしい。商品化は時間がなくてできなかったので、後輩たちが引き継いでくれるとありがたいです」と話した。

 沼野君の作品は「清流と生きる」。清流・切目川が流れる地域で生まれ育ち、川の生き物との触れ合いから水質保全が大切なことを小さいころから学んだこと、高校に入学してから世界農業遺産であるみなべ・田辺の梅システムを勉強し、自然環境に配慮した農業に強い関心を持ったことを文章で表現。「将来はできるだけ農薬を使わずに有機肥料などを中心とした低農薬または無農薬栽培を目指し、川や山にできるだけ配慮した方法で農業をやっていきたい。蛍の飛び交う清流を守りながらできる農業を考えていきたい」と締めくくった。「入賞の実感はまだ湧きませんが、来年も入賞できるように頑張りたい」と意欲を見せた。

 同校農業クラブ担当の出口豊高教諭は「同校として3年連続優良賞をとることができてよかった。来年以降もそれ以上の賞がとれるように頑張ってほしい」と話した。