ここ数カ月、鉄道等で無差別殺傷事件が相次いでいる。8月、東京で36歳の男が走行中の電車内で乗客10人に包丁で切りつけ、サラダ油をまいて放火をたくらむ事件が発生。10月には、東京で24歳の男が乗客の胸をナイフで刺し、ライター用オイルをまき散らし火をつける事件が発生、18人が重軽傷を負った。

 その後も、11月に東京メトロで50代の男が工具で乗客を脅す事件や、九州新幹線の車内で60代の男が液体をまき、火をつける事件が発生している。そして今月17日には、大阪市内の心療内科で男がガソリンのようなもので放火。患者ら24人が死亡した。

 鉄道やクリニックなど、これまで安全と考えられていた場所で、悲惨な事件が立て続けに発生している状況は異様だ。もともと年末年始は犯罪発生件数が多い時期でもある。模倣犯が出てくる可能性もあり、さらなる注意が必要だ。

 さらに昨年から、著名な芸能人の自死なども多い。一見、楽しそうにしていて、成功者のように見える人にも、他人には分からない悩みがあるのだろう。そこにコロナ禍が加わり、人と話したり相談したりする機会が減ると、精神的に追い込まれる人が増えるのは当然だ。

 経済的に追い込まれている人も多数いる。飲食や観光、エンターテインメント業界など、収入が激減したり倒産した業者もある。学校でオンライン授業が行われる時代になったように、急な生活様式の変化が、多くの人にストレスをもたらした可能性は高い。

 ひきこもり相談に訪れる人が増えているという専門家の意見もあり、精神的な病を抱える人が増加している可能性もある。これからの時代は、「心のケア」に対する支援がより一層充実した社会づくりが必要だろう。 

(也)