県は9日、新型コロナウイルスの新たな感染者は確認されず、入院患者数が昨年7月8日以来、519日ぶりにゼロになったと発表した。第5波では入院患者数が500人を超えた時もあったが、保健医療行政の機能を最大限に生かして感染を抑えてきた。ただ、国内外で変異ウイルスの「オミクロン株」が検出されており、引き続き感染対策の徹底を呼びかけている。

 第5波では今年7月に入って県内の感染者が少しずつ増え、8月の盆過ぎから急増。一日当たりの感染者数は8月20日と24日に過去最多の90人を記録。入院患者数は26日の562人が最多となり、県内の病床使用率も90%を超えるほど逼迫(ひっぱく)していた。県では病床数を増やし、軽症や症状が回復したあとの〝出口〟として活用するホテル療養も導入するなどで対応しつつ、全国唯一の感染者全員入院を堅持。感染者早期発見や感染ルート特定など、保健医療行政が粘り強く感染拡大の防止に努めてきた。9月に入って感染者が減少傾向となり、全国的にも感染者が減ってきたことから、9月末には首都圏など全ての地域での緊急事態宣言などが解除。第5波は収束の状況にある。しかし、11月下旬に南アフリカなどで確認されたオミクロン株が、その後、世界各地で確認されており、日本でも海外からの帰国者の感染が判明している。

 野尻孝子福祉保健部技監は「入院患者がゼロになったのはひとえに県民一人ひとりの感染防止の実践と第一線で感染症に向き合う保健医療関係者の日々のたゆまぬ努力の成果だと思っています。一方でオミクロン株が海外や国内で検出されています。感染力や重症化はまだよく分からない段階にありますが、流行する可能性があり、十分な警戒が必要。ワクチン接種後も感染する事例があり、引き続き基本的な感染対策を徹底していただき、早期受診を心掛けていただきたい」とコメントを発表した。