写真=鬼となった女を法力で鎮めようとする僧侶

 日高川町鐘巻の道成寺で3日、公益財団法人国立劇場おきなわによる琉球舞踊と組踊「執心鐘入」の奉納公演が行われ、多くの来場者が沖縄伝統芸能を楽しんだ。

 先月30日に開幕した国民文化祭「紀の国わかやま文化祭2021」の一環。同寺本堂北の念仏堂前に特設ステージを設置し、第1部は琉球舞踊、第2部は組踊「執心鐘入」が上演された。組踊は、琉球語の唱え(せりふ)、音楽、所作、舞踊で構成される約300年前から伝わる歌舞劇で、国の無形重要文化財に指定されている。

 執心鐘入は琉球版の安珍・清姫物語で、一夜の宿を求めた美少年の主人公中城若松(なかぐすく・わかまつ)が、宿の女に言い寄られ、寺に逃げ込む。女は執念から鬼女に変じてしまうが僧侶らの法力によって鎮められるまでが描かれている。

 舞台では、役者が沖縄特有の色鮮やかな着物を着て登場し、優雅な動きと独自の旋律に乗せ歌うように発せられるせりふで会場を魅了。女が若松に迫るシーンや、鬼となった女と僧侶らが対峙する場面は、笛や太鼓、三線などの演奏で緊迫感を演出。僧侶の法力で鬼が退けられたときには、息をのみ、釘づけになっていた観客から大きな拍手が送られた。