写真=新装置㊧に差し込む検体チューブを手にする稲葉科長と西川副院長

 御坊市のひだか病院が日高地方で初めて、新型コロナウイルスとインフルエンザの感染を同時に判定できる遺伝子解析装置(PCR検査装置)を2台導入した。これまでは別々の検査が必要だったが、新装置では一度に検査できるうえ、結果判明までの時間が短く精度も高いため、スムーズな救急対応、院内感染予防の水際対策強化につながると期待されている。

 コロナもインフルも熱や咳、倦怠感といった症状が似ているため見極めが難しく、これまでは別々に鼻腔から検体を採取するなどしなければならなかった。検査結果はインフルの場合は15~20分で判明したが、コロナは2、3時間待たなければならなかった。新たに導入したPCR検査装置は一度に両方の解析ができるうえ、約20分あれば結果が判明。精度もほぼ100%となっており、迅速、正確な検査ができ、患者の負担減にもつながると期待される。

 ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(東京)が開発、製品名は「コバス リアット」。費用は1台290万円(定価)で、県と国の補助金を活用して2台を購入。高さ19㌢、幅11㌢、奥行き24㌢で、ほとんど場所を取らない。すでに今年10月14日から導入して500件の使用実績があり、3日現在、コロナもインフルも陽性は出ていない。昨シーズンはインフルの流行がなく、現在コロナも全国的に感染者数が落ち着いているが、年末年始にかけて同時流行を危惧する専門家もいる。従来のコロナ検査装置は一度に約90人分の検査(新装置は一度に1人)ができるメリットもあり、コロナが再び拡大すれば並行して活用する。

 西川泉副院長と稲葉芙佐臨床検査科長は「精度の高い装置できちんと陽性かどうかを割り出し、ウイルスを院内に入り込ませないように対策を徹底します。コロナ流行時には受診控えの傾向もありましたが、安心して病院にお越しください」と話している。