産業の振興や農山漁村の活性化に貢献した個人や団体をたたえる県農林水産業賞の受賞者が決まった。県内で1団体と10人が受賞。日高地方からは農業部門で元由良町農業協同組合ゆら撰果場副場長の山口寛二さん(85)=同町三尾川=、林業部門で県木炭協同組合副理事長の足川修さん(61)=日高川町山野=、水産業部門で由良町の紀州アカモク会(中村和孝会長)が選ばれた。

 農業部門は8人、林業部門は2人、水産業部門は1団体が受賞。地域づくり部門は該当者がなかった。12月3日午後1時半から県庁で表彰式が行われる。

 山口さんは温州ミカンである宮川早生の一枝に着果している果実の着色が極端に早いことを発見し、有望な枝変わり系統である可能性を見いだした。特性調査の結果、「ゆら早生」として品種登録され、柑橘産業に大きく貢献した。生産技術やブランドの確立にも尽力した。

 足川さんは元日高川町紀州備長炭保存会会長として「備長炭生産量日本一の町」をPR。紀州備長炭指導製炭士として県内の製炭者の技術指導にも当たり、Iターン者を含めて多くの後継者を育成した。現在は県木炭協同組合副理事長を務め、紀州備長炭の振興に貢献している。

 紀州アカモク会は2016年に発足。未利用だった海藻のアカモクを活用し、加工食品や保湿美容液の製品化に成功。積極的なPRや販促活動を行い、地元漁業者の所得向上につなげた。地元の民宿などでも新たな特産品の食材として取り入れられ、地域の活性化に貢献した。