国連気候変動枠組み条約締約国会議の26回目の会合(COP26)で、「世界の気温上昇幅を産業革命前より1・5度以下に抑える努力を追求する」という決意を盛り込んだグラスゴー合意が採択された。

 石炭火力発電の削減に関する目標も初めて示されたが、国内総発電量に占める割合が高いインドや中国の反発により、土壇場で言葉の表現が段階的「廃止」から「削減」に弱められた。脱炭素社会実現という共通のゴールはまだまだ遠い。

 COP26は開催地の英国ではさほど話題にならなかったという。日本はどうか。テレビやネットは眞子さまの皇籍離脱と結婚に関する話、それに対する海外メディアの反応を伝えるニュースの方が多かった印象がある。

 外国とは海外、遠い海の向こうである日本人の多くは、外国への出稼ぎや海外から移り住んでくる人も少なく、それに伴う対立や問題は諸外国に比べて極めて少ない。必然的にこうした環境が海外への関心の低さを生み、メディアのニュースの偏りにつながっているとの指摘もある。

 最近、日本が大好きで、文化や歴史に興味があってやって来たという外国人がテレビによく登場する。彼らはアニメや和食の素晴らしさを口にするが、日本人のほとんどが海外の実態を知らないのと同様、実際には日本人が思っているほど外国人は日本を知らず、スゴイとは思っていない。

 日本は元寇と大東亜戦争以外、本格的に他国の進攻を受けたことがなく、戦後は米国の核の傘の下で自由と平和を享受してきた。小室さんの陰に回ったCOP26の報道には、新型ウイルスや安全保障も含め、特異な島国の日本人の国際問題に対する関心、危機意識の低さがよく表れていた。   (静)