11月3日は文化の日だ。休日ということで、行楽を満喫した人も多いだろう。しかし、「文化の日」の意味について真剣に考えたことがないのは、私だけではないだろう。

 内閣府のホームページをみると、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」とある。確かにこの時期になると、本紙でも叙勲等のニュースが多くなる。しかし、自分には関係ないのであまり興味がない、という人も多いかもしれない。他にも、秋分の日は「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ」とあるが、その意味を理解している人がどれだけいるだろうか。

 「文化の日」は1946年11月3日に日本国憲法が公布されたことから、「平和と文化を重視していこう」という趣旨で定められたとされる。しかし戦前までは「明治節」という祝日で、明治天皇の誕生日を記念した日だった。

 秋分の日は、かつて「秋季皇霊祭」と呼ばれていて、歴代天皇ならびに皇族の霊をまつる宮中祭祀が行われる日のことだった。11月23日の勤労感謝の日は、古くから「新嘗祭(にいなめさい)」という祭事が行われてきた日で、天皇が五穀豊穣を祝い自然の恵みに感謝する、最も重要な宮中祭祀の一つが行われる日でもある。

 ここまで「宮中祭祀」という言葉を多用したが、これは現在でも皇居内の宮中三殿と呼ばれる施設で、天皇皇后両陛下を中心に執り行われている祭儀である。

 このように現在とは違った名称で呼ばれていた祝日も、歴史をたどっていけば知られざる日本の伝統文化の姿を知ることができる。

 コロナ禍も落ち着きつつある中、せっかくの休日ということで、行楽で頭がいっぱいになりがちだが、祝日の意味についても思いを馳せたいものだ。     (也)