写真=道成寺―和佐駅間に完成した壁画

 JRきのくに線御坊―新宮駅と紀州鉄道の沿線地域をアートで彩るイベント「紀の国トレイナート2021」が31日に開幕する。駅舎や沿線のスポットで18のアート作品の展示やイベントなどが行われる。日高川町の道成寺―和佐駅間には、「車窓アート」のひとつ壁画「きのくにView!」が完成した。

 日高川町小熊地内、線路と地元農家も使う道沿いの擁壁、高さ4㍍、幅20㍍をキャンバスに、グラフィックデザイナーの加藤文子さん(38)=東京都=が手掛けた。加藤さんは2度目の参加で、19年に同じ場所で花と三角形模様の作品を描き、今回の作品と並んでいるので一緒に見ることができる。今年の作品「きのくにView!」は、前回訪れたとき車窓から見たミカン畑と海の景色が美しく印象的だったことから、その様子を描くことに。海を挟んで濃淡の葉が茂り、黄色やオレンジの実がたくさんなっているところに線路が楽しそうに曲線を描く、カラフルな作品。地元の人らも参加し、思い思いのミカンを描いてもらうなどして1週間ほどで仕上げた。

 加藤さんは「よそから来た電車の乗客に、こんな素敵な景色のところに来てますよと言いたくて描きました。見る人が楽しい気持ちになってもらえれば」と話している。加藤さんの作品や活動はインスタグラム(akdesign)で閲覧できる。

 31日は、紀伊田辺駅前広場で開幕式が行われ、全国の高校生以下を対象にデザインを募集し、最優秀デザインを採用したラッピング列車が出発。11月6日には、アート作品を巡る臨時列車「紀の国トレイナート号」を運行。駅から出てまちを探索するツアーなどもあり、21日まで開催される。