31日投開票を迎える衆院選の舌戦も、いよいよきょう限り。和歌山3区では自民党前職の二階俊博候補(82)が当選12回の経験と実績、圧倒的な組織力で優位に立つ。共産党新人の畑野良弘候補(61)は立憲民主党等との共闘、政権交代を訴えて手応えは上向き。諸派新人の本間奈々候補(52)は保守の新たな受け皿をアピールしつつ知名度アップに奔走。無所属新人の根来英樹候補(51)は「愛」を旗印に組織なき戦いを展開し、どこまで浸透したか。

 2017年10月の前回選挙は一騎打ちとなり、二階氏が10万9488票を獲得、4万608票の共産党新人楠本文郎氏を破った。投票率は59・78%。今回、全国的にはコロナや経済対策、政権選択などが争点になっているが、和歌山3区ではこれといった大きな争点はなく、二階陣営が強固な牙城をいかに守り、他の3陣営がどれだけ切り崩せるかが焦点。ただ、前回の一騎打ちと比較すると、反二階票や新人への期待票が3新人に分散する傾向にある。

 二階陣営では高速道路4車線化や国土強靱化の取り組み、経済産業大臣や歴代最長の党幹事長の経験などを武器に3区内の首長や県議らの支援、各種1200団体の推薦を受けて盤石の組織態勢を構築。公示後は本人が県外候補の応援の合間を縫って3区内各地で個人演説会をこなし、大票田の田辺・西牟婁の地盤も死守。30日には地元御坊市で野田聖子少子化担当大臣を迎えての個人演説会も予定。攻勢の手を緩めずラストスパートをかける。

 畑野候補は公示後、地元である東牟婁地方や人口の多い田辺市などを中心に3区内を4巡。街頭演説を中心に、市民連合や野党統一候補であることを前面にアピールし、政権交代を強力に訴えてきた。陣営では「政権交代すれば、消費税を5%に減税する法案を提出するなど具体的な政策が響き始め、手応えはしり上がり。街頭演説では多くの人が耳を傾けていただき、政権交代を現実のものと思ってもらい始めているのを感じています」と話す。

 本間陣営では1年前に御坊事務所を立ち上げて各地で街頭演説を精力的に行い、「打倒二階」や「消費税ゼロ」を訴えてきた。右翼団体と見られることもあったが、保守団体としての認知度が少しずつアップ。公示後も3区内をくまなく街宣し、特に大票田の田辺や前職お膝元の御坊での運動に力。「二階王国」を目の当たりにし厳しい戦いだが、半面「このままじゃダメだ」という変革ムードも肌で感じ、しっかりと手を振る人が増えてきた。

 根来候補は今年1月に立候補を表明し、1人で選挙活動を展開。公約として消費減税、アメリカや台湾との関係を強化した安全保障、大規模災害に対する防災対策の3つを掲げている。公示後はポスターを張りながら各地で街頭演説を実施。インターネットも活用し、支持を訴えている。選挙活動期間は30日までとなっているが、今後もこれまで通りにポスターを張りながら街頭演説に力を入れる。手応えについては「分かりづらい」と話している。