写真=のこぎりで丸太切りに挑戦する安祥中の生徒(6日、日高川ふれあいドームで)

 全国で緊急事態宣言とまん延防止等重点措置が解除され、これまで延期を余儀なくされていた修学旅行が動き始めた。日高地方7市町の広域で体験型観光を推進する民間組織「紀州体験交流ゆめ倶楽部」も修学旅行の受け入れを再開。5、6日には県外3中学校の生徒470人が訪れ、ミカン狩りや木工、草木染めなどの体験を楽しんだ。

 コロナ禍の修学旅行は、各校、感染状況を踏まえながら、なんとか実施できる道を模索し、近隣を目的地としたり、有名観光地を訪れるのではなく、日常を離れた体験ができる旅行などが注目されている。日高地方の多種多様な自然体験70種類を提供するゆめ倶楽部にも多くの申し込みがあり、今月だけで16校(うち県内9校)の修学旅行生を受け入れ、約1700人の小中学生が、森林の間伐や農作業、ハーバリウム、備長炭の風鈴づくりなどを体験する。

 5日は、三重県菰野(こもの)町の八風(はっぷう)中学校3年生126人が、御坊観光みかん園でミカン狩りを楽しんだり、由良町の白崎海洋公園で「貝殻フォトフレーム」作りをしたりと興味のある分野4グループに分かれて行動。美浜町三尾にある海猫屋(安藤妃史代表)には、SDGsに興味のある生徒34人が来訪。生徒たちは三尾の海岸でゴミ拾いをした後、拾ったシーグラス(波にもまれて角が取れたガラス片)などを材料に、シーグラスボールペン作りを楽しんだ。三尾公民館で「海洋プラスチックゴミをなくそう」をテーマに行われた講演会では、三尾で民宿「ダイヤモンドヘッド」を営む大江亮輔さんが、日常的に取り組んでいる海岸清掃で、マイクロプラスチックごみ(直径5㍉㍍以下)を非常に多く見かけるなど状況を説明。生徒たちは熱心にメモを取るなどして聞いた。

 6日は、大阪、三重、愛知から341人が訪れた。愛知県安城市の安祥(あんしょう)中学校(鳥居貴之校長)は3年生158人が3つのグループに分かれ、白崎クルーズや干物づくり、黒竹民芸品製作、ミカン狩りなどを6市町で体験。日高川町高津尾の日高川ふれあいドームでは間伐材を活用したメニューで、高津尾の加藤亮一さんが講師となって棚付きスライド式本立てづくりを行ったあと、ミヤマフォレストワークスの中本毅さんらが提供する丸太切り競争などで盛り上がった。

 安井央亮君は「自然は見て楽しむものと思っていたけど、遊んだり、技術が身に付いたりと楽しかった。丸太切りはのこぎりが曲がってしまいむずかしかったですが、だんだんうまく切れるようになりました」と笑顔を見せていた。鳥居校長は「山と海の自然が味わえる修学旅行にとやってきました。明日は串本へ行って、最終日は白浜でパンダを見て帰ります」と話していた。