写真=中央付近が崩落した六十谷水管橋

 和歌山市の紀の川に架かる水道水を送るための水管橋が3日夕方、川の中央付近で崩落した。これにより、河北地域で大規模な断水が続いており、市内のスーパーやコンビニでは飲料水が品切れ。市民生活に大きな影響が出ており、復旧のめどが立たないなか、不安が広がっている。

 同市の発表などによると、崩落したのは紀の川左岸の有本地区と右岸の六十谷地区を結ぶ六十谷橋の南側に架かる六十谷水管橋。午後3時45分ごろ、有本地区の加納浄水場で送水量の異常が分かり、職員が橋を見に行ったところ、長さ約550㍍の中央付近が約60㍍にわたって崩落、折れた直径約90㌢の配管2本から水が大量に噴き出していた。

 この影響により、野崎、湊、松江、加太、有功、紀伊など13地域で最大約6万戸(約13万8000人)で断水、または断水する恐れがあり、4日は市立の小中学校、幼稚園、私立学校などがすべて臨時休校。同日午前7時からは各地域の小学校計22校に応急給水所を設置し、多くの市民がポリ容器やペットボトルを手に行列をつくった。

 和歌山市内では3日夜には断水エリアを中心にスーパー等の飲料水が売り切れ、ポリ容器も手に入らない状態が続いている。尾花正啓市長は4日朝の記者会見で、「市民の皆さまに大変なご迷惑をおかけし、心からお詫び申し上げます」と陳謝。復旧の見通しについては「水道管の材料が手に入ってから3日をめどに復旧させたいが、現時点でいつ材料が手に入るかは分からない」とした。

 同市福島に住む50代の会社員の女性は4日朝、「晩ごはんにイカを料理していたら断水して、イカのスミが落ちるまでしっかり手も洗えなかった」と、黒くなったままの爪を見ながら苦々しい顔で話していた。