写真=休耕田を花畑に再生し笑顔いっぱいの児童たち

 全国各地の優れた花のまちづくり活動をたたえる第31回全国花のまちづくりコンクール(同推進協議会主催)の受賞者が発表され、みなべ町の高城小学校(夏見和敏校長)が最高賞の文部科学大臣賞に選ばれた。同校では1980年から40年以上にわたり、全校挙げて花いっぱい運動を展開。花づくりをきっかけに地域住民と一体となった取り組みを行っていることが高く評価された。

 コンクールは1990年に開催された国際花と緑の博覧会の理念「自然と人間との共生」を引き継ごうと91年から行われている。今年は個人、団体、市町村から1031点の応募があり、最高賞の文部科学大臣賞、農林水産大臣賞、国土交通大臣賞に全国の1個人、1市町村、3団体が選ばれた。

 高城小学校ではコンクールよりも10年以上前から花育活動を行っている。島之瀬小学校と城西小学校が合併して高城小学校となった80年、現在の学校周辺の法面などにサクラ150本をはじめツツジなどを植栽したのをきっかけに花いっぱい運動がスタートした。21年前に卒業生の伏見欣子さんが母校に学校職員として赴任して花育を引き継ぎ、児童と一緒に活動している。卒業式や入学式に向けて低学年は式場を飾るチューリップなどの栽培、高学年は栽培委員会委員が中心となって学校の花壇やプランターで年中、四季折々の花を咲かせている。

 校内にとどまらず、昨年からは町道沿いの同校への進入口にあるもともと梅畑だった休耕田を開墾している。現在の4年生が中心となり3年生のときに休耕田に毎日のように通い、草引きや石ころを拾うなどし、地域住民も重機で協力。高城地区共育協議会(下村勤会長)から花の苗を提供してもらうなど、地域一体となった取り組みで休耕田を花畑に再生した。夏はヒマワリ、秋はコスモスを咲かせ、ドライバーの目も楽しませている。今年春にはビオラ、ノースポール、ナデシコなど色とりどりの花を咲かせ、4年生児童が「心の中に花一輪」のメッセージを手に写真を撮影し、写真は今回のコンクールにも出品した。
 講評では「児童が主体的に植物栽培に取り組み、地域の人々と連携したさまざまな体験を通して郷土愛も育んでいる」と高く評価された。

 花畑活動に取り組んだ4年生の冨山凛さん(9)は「とってもうれしいです。もっといっぱい花を育てたいです」と笑顔いっぱい。夏見校長は「共育協議会や地域住民の皆さんの協力のおかげ。これからも花育を通じて子どもたちの豊かな心を育てていきたい」、伏見さんは「花を育てることで子どもたちが生まれ育った高城に誇りを持ち、絆を大切にできるようにこれからも取り組んでいきたい」と話した。