日高川町鐘巻、天音山道成寺(小野俊成院主)で20日から、秘仏の木造千手観音立像(重要文化財)の御開帳が始まった。2005年3~4月以来、16年半ぶり。本来は33年に1度だが、この秘仏と二代目釣り鐘などを寄進した中世の人物、逸見万寿丸(へんみ・まんじゅまる)が今年生誕700年を迎えたのに合わせ、33年の半分、16年半の期間を置いた「中開帳(なかかいちょう)」として公開。初日から多くの人が訪れ、秘仏を拝んだ。

 秘仏は南北朝時代の制作。万寿丸の寄進により、胎内仏(木心乾漆千手観音立像)を納める鞘仏(さやぼとけ)としてつくられた。胎内仏とともに、1989年に重要文化財に指定。

 初日朝には本堂で、檀家ら約30人が参加して「開扉法要」が行われた。小野院主の読経に続き、参加者が焼香。小野院主は「御開帳の五か条」について「一、秘仏とは亡き両親のように、見えないところから見守ってくださる仏様。二、開扉法要はささやかでも善行を積んで秘仏にご報告を。三、前のご開帳からの長い期間は人生を見つめ直すチャンス。四、しまいの閉扉法要は次のご開帳までの期間が平和で幸せな世界であるよう祈ること。五、かけがえのない大切な人と参ると、次のご開帳にも一緒にお参りできるといわれます」と説明し、「今回のご開帳は、11月28日まで70日間あります。ご自身のお仕事に励んだり、周りの皆さんと仲良くするなど、それぞれよい行いを積まれて仏様の前にお進みください」と話した。

 法要のあと、参加者はソーシャルディスタンスを保ちながら、扉が開かれた秘仏の前に進み、高さ3・6㍍の大きな千手観音像を感激の表情で見上げては手を合わせていた。地元日高川町の60代女性は「16年半前にも拝ませていただきました。久しぶりにありがたいお顔を間近で拝見できて、感慨深いです」、有田市から友人と訪れた50代女性は「子育てが一段落してから、道成寺にはたびたびお参りに来ていますが、秘仏ご開帳は今回初めてです。立派な仏様に感動しました」と話していた。

 11月28日まで、連日午前10時から午後3時まで無料拝観できる。

 万寿丸生誕七百年祭としてはこのあと、10月24日から11月18日まで、「二代目釣鐘お里がえり」もある。