先日、和歌山信愛大学教育学部の学生が、日高川町に地域連携フィールド学習に訪れた。あいにく、新型コロナの影響で学童クラブの見学などは中止したが、間伐材を使ったもの作りの体験をした。

 作ったのは押し花マグネットと焼き杉鉢の寄せ植えの2つで、講師はいずれも体験型観光を推進する民間組織「紀州体験交流ゆめ倶楽部」の会員。この体験が素敵だなと思ったのは、作ることを純粋に楽しむのに加え、講師がこれまで体験を提供してきた経験から、子どもたちが相手で興味を示してくれない場合や、大人と子どもに教えるときの違いなども話していたこと。教育に携わることを目標にしている学生にとっては学びの多い貴重な体験になったと思う。

 紀州体験交流ゆめ倶楽部は、官民が連携し、日高地方への教育旅行誘致を中心とした観光振興を目的に今年3月に設立された組織。子どもから大人まで、日高エリアの海、山、川など豊かな自然、日本一の梅や紀州備長炭など特徴ある農林水産業、それらを活かしたもの作りなど、約70種類の多種多様なメニューが体験できる窓口となっている。民泊体験のほうは、コロナ禍でインバウンド客が見込めないが、逆に人が過密になることが避けられ行動範囲が制限されるなか、観光などではない体験旅行が注目されている。緊急事態宣言などが解除される10月以降は、修学旅行など多くの予約が入っているという。

 地元小学校からもカヌーや木工など体験に訪れており、楽しむ笑顔が印象的だった。遠くには素敵なことがあるかもしれないが、近くにもまだまだ知らないワクワクすることがあることを教えてくれる。地元の子どもがもっとここで体験する機会が増えればと思う。   (陽)