写真=バトンタッチした阪本さん㊧と橋本さん

 美浜町出身の阪本勇次さん(31)が、県事業継承・引継ぎ支援センターと日本政策金融公庫の支援を受け、海南市の老舗スポーツ用品店「カイナンスポーツ」を事業継承。43年にわたり店を守ってきた2代目の橋本憲三さん(74)からバトンを受け、同市大野中に店舗を移転オープンさせた。3年前から店を手伝い、ノウハウを吸収するとともに、後継者として信頼を獲得。子どものころからの夢を叶え、「地域の人に愛される店にしたい」と話している。

 同店は、橋本さんの義父が1947年に創業。同市船尾で、海南や和歌山市内学校の部活動やスポーツ少年団の指定ユニホームをはじめ、幅広くスポーツ用品を扱い、地元から信頼を得てきた。

 数年前から体調に不安を感じ始めた橋本さんが、店の後継者不在を周囲に相談。友人が3年前、阪本さんを紹介し、当時会社に勤めていた阪本さんが、仕事の休日に店を手伝うようになった。

 阪本さんは小学1年のとき松原少年で野球を始め、中学時代は和歌山日高ボーイズ/マリナーズでプレー。南部高校、大阪産業大学まで野球一筋で、現在も和歌山市内の軟式チームで続けている。子どものころから通ったスポーツ用品店。地元の子どもたちが集まる空間に憧れ、経営に夢を抱くようになったという。

 店舗は人通りが多いところに移し、前の店にはなかったバットの試し振りができるバッティングゲージやテレビを設置。ネーム入れや購入者に合った商品説明という対面販売でしかできないサービスのほか、道具の手入れ教室やSNS活用に力を入れていく。

 親族や従業員ではない第三者が経営を引き継ぐ事業承継。阪本さんは「自分の色を出しつつ、昔の色も残しつつ、今まで以上の店、気軽に立ち寄ってもらえる店を目指したい」と大張り切り。「いろんなところに情報発信し、日高地方からも足を運んでいただける店にしたい」と話している。