新型コロナの感染予防対策として県では抗原検査キットを購入し、4月末から高齢者施設の職員が1週間に1回、検査できる体制を整えたほか、医療機関や集団感染が発生した飲食店などにも配布し、感染者の早期発見、感染拡大を防いできた。抗原検査キットはPCR検査に比べると精度は落ちるが、少しでも疑わしい症状がある場合に、迅速かつ手軽に検査できるのが強み。マスク着用などの対策が徹底されにくい幼児施設などでも効果的に活用できる。

 県内の市町村単位でみれば和歌山市が小中高校に抗原検査キットを配布しているが、独自に準備する市町村は少ない。日高地方では印南町が今月中に、抗原検査キット2500回分を購入し、小中学校やこども園に配布。唾液と鼻腔で調べる2種類があり、簡単にできる唾液は小学3年生以下、鼻腔は小学4年生以上に使ってもらうそうだ。同町ではコロナ経済対策で全世帯への3万円分、5万円分と2度にわたる応援券配布や県内最速ペースでのワクチン接種など、スピード感ある取り組みが展開されているが、今回もまた住民の安心、安全につながるいい判断だ。

 確かにコロナ第5波は首都圏や大阪などでピークを過ぎて落ち着きつつあり、県内でも一時の90人超から15日には12人まで減少。ワクチンも県内の接種率は今月4日現在、57・38%で過半数に達し、もしかしたら第5波を最後にコロナが終息するのではという期待もある。しかし、新たな変異株が出るなど、いままで波を超えるたびに何度も期待を裏切られてきた。やはりまだまだ油断はできない。個人も行政もやれるべき対策は積極的に講じておくべきだ。(吉)