県議会は15日から一般質問が始まり、初日は御坊市選出の楠本文郎議員(共産党県議団)、16日は日高郡選出の坂本登議員(自民党県議団)が登壇した。楠本議員は洪水を防ぐための椿山ダム(日高川町初湯川)の事前放流について今後も高い水準での適切な放流調整を求め、坂本議員は紀州南高梅のおにぎりに合うブランド米を日高地方の水田を使って開発してはどうかと提案した。

 楠本議員は2011年紀伊半島大水害を教訓に全国に先駆けて12年6月、椿山ダムで運用開始された事前放流について、先月13日の大雨時の運用について詳細な説明を求めた。その時はダムへの流入量が一時毎秒1100㌧、放流量も毎秒900㌧近くまで増加しており、安部勝也県土整備部長は「操作規定にのっとり、流入量が毎秒600㌧に達した13日午後8時から約46時間にわたり洪水調整を行った。ダムの水位は利水者である関西電力株式会社と調整のうえ、夏期制限水位より低い貯水位を維持し、洪水に備えた。その結果、最大の放流量を毎秒826㌧まで調整し、下流域への影響を最小限に抑えた」と説明。楠本議員は「今回の洪水調整は評判がいいんです。今後も早め早の放流調整を、今回のような水準に持っていっていただきたい」と求めた。

 坂本議員は日高地方では北部が水田、南部は南高梅など果樹栽培が盛んであるとし、「南高梅を包んでいるおにぎりと相性のいい米を、日高地方の水田を使って開発してはどうか。他産地の米に比べブランドの優位性に欠く当地方の米栽培をもっと元気づけられるのではないか」と指摘。南高梅のおにぎりはすでに大手コンビニで売られて人気であることや、プチ贅沢路線の商品嗜好(しこう)になっていることも紹介し、南高梅おにぎりの県とコンビニとの共同開発も提案した。

 仁坂吉伸知事は「県では食味に優れた米の品種の栽培試験を行い、本県に合った優良な品種を絞り込んでいるところ。これらの品種の中から南高梅と相性のよいものを選抜し、南高梅のおにぎりに適した品種としてJAとともに広くPR。試作や本格栽培の農家も募集し、日高地域に新たな品種の名産をつくっていく。コンビニとも連携し、『日本一の南高梅おにぎり』を目指し、共同開発に取り組む」と約束した。