「♪めだかの学校は 川のなか~」。童謡「めだかの学校」。1951年(昭和26)にNHKで発表され、以後多くの人に親しまれる曲となり、今でも子どもからお年寄りまで知らない人は少ないだろう。ただ、そんなメダカについて詳しい人もまた、少ないだろう。

 メダカは西はインドから東は日本まで広く分布し、37種類が知られている。ただメダカがいつの時代にどこで誕生したのかなどは解明されていなかった。そんな中、和歌山高専など国内13機関と、インド、ベトナムなど6カ国7研究機関、合計20の研究機関が参加した国際共同研究チームが、メダカのルーツをたどった。その結果、メダカの祖先は中生代後期の7400万年前にもさかのぼることがわかった。生息場所はインド亜大陸で、時代的にオーストラリアやアフリカ大陸などを形成していた「ゴンドワナ大陸」からインド亜大陸が分離し、インド洋を北上していたころとなり、ユーラシア大陸と衝突・合体した後にアジアに分布を拡大したと推測された。

 研究チームに参加した和高専のスティアマルガ・デフィン准教授に取材したが、「メダカという小さな魚に壮大なストーリーがあることがわかった。大切に守り続けていかなければならない」という言葉が印象的だった。

 メダカと聞いて思いつくのは「めだかの学校」くらいで、そこまで思い入れがないという人も多いだろう。ただ、そんなメダカが7400万年前から恐竜が支配していた時代や氷河期を生き抜き、今も続いていると考えると、見方も変わってくる。そして、すべての生物が尊いことは言うまでもないが、起源を知ることによって、今あるそのものを大切にしようとする思いが強くなると感じた。(城)