県は9日、新型コロナウイルスの県内発生状況をまとめ、第5波の特徴として10代以下の若年者・小児の感染者数が第4波と比べて2・5倍に急増していることが分かった。増殖が速く感染力が強いデルタ株の影響に加え、ほとんどがワクチン未接種であることが要因。感染経路は家族からが最も多いが、感染者から保育所や学校への二次感染が疑われる事例もあり、集団生活を行う施設での一層の感染予防対策を呼びかけている。

 県内の年齢別感染者数は第5波で2257人(今月8日現在)。うち20代の514人が最も多く、次いで40代366人、30代353人など。ワクチン接種が進んでいる60代は86人、70代は81人、80歳以上は68人で、高齢者が少なかった。

 第4波との比較では10代以下の感染者数が増加しており、第4波で10代と10歳未満は合わせて205人だったが、第5波では520人(2・54倍)。内訳は10代が第4波で150人、第5波で337人(2・25倍)、10歳未満が第4波で55人、第5波で183人(3・33倍)。60歳以上の高齢者の感染者数は約半減している。

 第5波では10歳未満の感染者が経過中に約9割が発熱し、最高体温も38度以上の高熱になる子どもが4割と高くなっているのも特徴。咳、鼻汁、鼻閉などの上気道炎症状とともに、消化器症状や全身倦怠感、味覚・嗅覚異常など多様な症状も見られた。また、10代の初期症状は10歳未満と比較して咽頭痛、頭痛、倦怠感が多く見られ、咳や関節筋肉痛、味覚・嗅覚障害、経過中の発熱が多く、最高体温も高くなっていた。

 野㞍孝子県福祉保健部技監は「小児は集団生活ということから密接し、しかもワクチン対象外で、マスクの着用も不十分であることから、今後、小児の集団感染が発生する可能性が高い。小児が感染すると親も一緒に入院する体制を取っているので、病床がいくらあっても足りないということにもなる。子どもへの感染防止、大人が家庭内に引き込まないことが重要」と話した。