日高地方の観光振興を目的に、教育旅行等受け入れのワンストップ窓口として今年3月に発足した紀州体験交流ゆめ倶楽部に、修学旅行をプランニングする旅行会社などからの申し込み、問い合わせが増えている。これまでの受け入れ実績はまだ4校しかないが、豊富な体験メニューと宿泊先の白浜町の手前という位置関係のよさもあり、先月からは秋の修学旅行に関する問い合わせが急増している。

 紀州体験交流ゆめ倶楽部は、官民が連携して日高地方7市町への教育旅行誘致を中心に、新たな体験メニューの開発や民泊のネットワークづくり、旅行会社からの問い合わせ等を一手に引き受けるワンストップ窓口として今年3月に発足。日高川町和佐の南山スポーツ公園若者センターに事務所を構え、山下泰三事務局長ら2人のスタッフで4月から本格的に動き始めた。

 現在の観光体験メニューは、日高川町の森林間伐、印南町の川遊び、由良町の漁船クルージングなど7市町合わせて約60プログラム。コロナ禍で旅行など人の移動が制限されるなか、これまでに大阪や三重の中学、高校の4校の修学旅行を受け入れ、白浜町やみなべ町の宿泊先へ向かう途中のアクティビティとして、日高町原谷の黒竹民芸品作り、美浜町三尾のシーグラスを使ったアクセサリー作りなどの体験を提供した。

 先月20日までのプランの申し込み、問い合わせは、企業や家族連れも含めて74件。コロナの影響で約半分がキャンセル・延期となったものの、京阪神を中心に遠くは関東、中国地方の学校、または学校の委託を受けた旅行会社から問い合わせがきている。

 人気の理由は豊かな自然の中での豊富な体験メニューで、山の中での間伐体験やクルージング、農作物の収穫をしたいという声が多い。体験メニュー提供者の間では「もっと野外でおもいきり体を動かし、楽しめるメニューを増やしていきたい」との声もあるという。

 いまはコロナ感染予防のため民泊を受け入れていないが、山下事務局長は「現在、民泊サービスを提供していただけるのは、日高川と印南を中心に70軒ほどある。数百人の修学旅行を受け入れるには、もっと多くの民泊施設が必要。コロナが終息すれば、民泊体験をメインに受け入れられるよう、体制づくりを進めたい」と話している。