印南町は近く、印南地内の通称上野山にある町道上野山線道路改良事業の現場工事に着手する。昨年度の設計を含め5カ年計画で約7億円を投入し、狭い進入路や周回道路など総延長1㌔を拡幅。上野山は津波浸水の心配がない高台で、道路整備などを呼び水に民間業者による宅地化を促し、住宅の高台移転を推進するのが狙い。完成は2024度末を目指している。

 印南漁港を望む上野山は海抜25~30㍍で、津波などの避難センターがあり、すでに一部宅地化されて住宅も建設されているが、約2万平方㍍の農地も残っている。このエリアが宅地化されれば、同町の海岸線では貴重な高台の住宅用地が確保できることになる。学校や高速ICが近く便利な場所でもある。

 町道は上野山の西側の県道印南原印南線のほか、東や南側から進入するルートがあり、エリア内を周回する道もある。幅員は現行4㍍と狭く、乗用車の対向が困難となっている。工事では幅員7㍍に広げ、片側に幅2㍍の歩道も整備。排水のための側溝も設ける。東側の進入路では一部山切りも行う。昨年度に設計を行って今年度はすでに一部用地を購入しており、西側進入路の45㍍区間から拡幅に着手する。工事の入札は先月25日行い、古井の夏目水道(夏目光治代表)が2688万7300円で落札。全体の設計は御坊市薗の有限会社ヤマニシ(山西智之代表)が2545万2900円で請け負った。

 国の防災安全社会資本整備交付金を活用した事業で、国費が54・5%、残りは町単独。民間業者による高台の宅地化を促すためにはライフラインとなる水道の配水管の整備も不可欠で、町は今年度から未来投資事業として上野山の配水管整備も同時に進めていく。

 建設課の片山盛夫課長は「印南地内は津波の浸水エリアが多く、これを機会に高台移転が進めば」と話している。