県は、淡水魚の漁業振興を目指す「内水面漁業振興計画」を策定した。期間は今年度から2025年度までの5年間。生産量が減少しているアユ養殖(19年度実績584㌧)については、5年後に1割増の640㌧とすることなどを盛り込んだ。主な施策としては漁場環境の再生、水産資源の回復、人材の育成などを推進するとしている。

 内水面漁業振興計画は、14年に制定された内水面漁業の振興に関する法律の基本方針を踏まえ、今回初めて策定された。

 県内の19年アユ養殖の生産量は全国シェアの14%。愛知の1171㌧、岐阜の910㌧に次ぐ3位となっているが、ピークだった91年の3244㌧と比べると8割減となっている。要因としては価格の低迷、事業者の高齢化による撤退、餌となる配合飼料の値上げなどがある。

 アユ釣りの遊漁者数も年々減少し、19年は9645人(年券5195人、日券4450人)。10年は1万7282人(年券9936人、日券7346人)で、9年間で44%の減少。友釣りの道具が比較的高価なことやレジャーの多様化などで若い世代の釣り客が少なくなっているという。アマゴ釣りの遊漁者数も減り、19年の実績は1739人(年券1402人、日券337人)。10年の2273人(年券1633人、日券640人)から23%減となっている。

 県内の組合数は06年が9971人だったが、19年は44%減の5627人。高齢化も進んでおり、組合の経営基盤が脆弱(ぜいじゃく)となっていることがうかがえる。

 振興計画では漁場の環境再生、資源回復、水産物の需要拡大、人材の育成・確保に取り組むとし、アユ養殖生産量を現状の1割増、組合員数とアユの遊漁者数については現状維持させるとしている。

 具体的な対策として

▽アユやアマゴ等の種苗放流の支援▽漁協等が実施するカワウ捕獲の支援▽アユ冷水病対策として放流種苗の保菌検査やワクチン開発▽地域資源を活用した加工品開発の支援▽魚の旬や食べ方に関する情報発信▽漁協が行う研修会や各種教室の取り組みの推進――などを挙げている。