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地鶏「龍神コッコ」の採卵始まる

写真=龍神コッコと卵(左の小さい方)を手に石﨑さん夫妻

 田辺市龍神村で300年以上飼育されてきた固有の鶏「龍神地鶏」と在来種の交雑で昨年度に県の畜産試験場養鶏研究所(日高川町)が新たに開発した採卵用地鶏「龍神コッコ」の飼育が、今年度から始まった。今月からは卵とプリンの販売が地元でスタートしており、連日品薄と早くも人気。一時は絶滅の危機といわれた龍神地鶏の保存に乗り出して約10年、DNAを受け継いだ龍神コッコが市場デビューし、話題となりそう。

 龍神地鶏は喧嘩鶏や観賞用に飼育されてきた龍神村固有の地鶏。1981年に存在が知られ、遺伝学的、学術的に貴重な地鶏だが、特定地域でごくわずかな人のみが飼育していたため、近親交配などの影響もあって絶滅が危惧されていた。秋篠宮殿下が2009年に論文で発表したことが一つのきっかけとなり、県が調査すると、龍神村と奈良県で5軒合わせて68羽の飼育数しかなく、県養鶏研究所などが保存に乗り出し、いまでは400羽まで増えている

 養鶏研究所では龍神地鶏と在来種の「ロードアイランドレッド」を交雑した、龍神地鶏のDNAを受け継ぐ新たな地鶏を開発。仁坂吉伸県知事が「龍神コッコ」と命名し、今年5月から龍神村の石﨑源太郎さん(47)、亜矢子さん(37)夫妻が自身の「とりとんファーム」で飼育をスタートした。

 大阪出身の源太郎さんと京都出身の亜矢子さんは12年前、農業がしたいと和歌山に来て、有田川町の養鶏養豚会社で一緒に働いていたことなどが縁で結婚。4年前に独立し、龍神村にとりとんファームをオープンした。今年5月からは、養鶏研究所で120日飼育された龍神コッコ100羽を飼育し、今月から卵の販売も始まった。

 龍神地鶏と同じく体が小さく、卵も一般のものより小さいが、黄身の割合が高く、うまみ成分であるグルタミン酸の含有量は通常の2割ほど多くて濃厚な味わいが大きな特徴。エサの材料や配合は石﨑夫妻オリジナルで、遺伝子組み換え食品を一切使わず、人が安全に食べられる食材しか使わないなどこだわりを持って飼育している。

 一般の鶏より産むペースが少し遅く、毎日の採卵数は60個前後。道の駅日高川龍游「龍游館」(同村福井)で卵を販売しており、連日売り切れの人気ぶり。卵を使ったプリンは菓子工房HOCCO(同村甲斐ノ川)で販売中。卵本来の味が引き立つおいしさは早くも話題となっている。

 石﨑さん夫妻は「『コッコの卵を食べたら、ほかの卵を食べられない』などといってもらえ、本当にうれしくやりがいがあります。プリンもめちゃくちゃおいしいので、ぜひ一度食べてもらいたい」とPR。将来的には豚や牛、ウナギやスッポンの飼育、おいしい龍神の米を使った酒造、若手農業者と一緒にマルシェなどもやりたいと夢を持っており、「農家はおもしろく、儲かるということを示して、次の世代が畜産をやりたいと思ってもらえるようにしたい」と話した。

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