1871年(明治4)11月22日、和歌山、田辺、新宮の3県が合併して和歌山県が誕生し、今年で150年の節目を迎える。県ではこれまでの歴史を振り返るとともに、未来を考える機会にしようと、記念式典(9月25日・県民文化会館)や巡回パネル展(8月25日から県内10カ所)などを企画している。

 紀伊半島に位置する和歌山県は古来「紀伊国(きのくに)」と呼ばれ、伊都、那賀、名草、海部(あま)、安諦(あて)、日高、牟婁の7つの郡があり、国府は現在の和歌山市府中に置かれていた。室町時代までは地方豪族や在地武士団の盛衰が繰り返されるが、1585年の秀吉の紀州攻めで一応の平定をみる。1619年には紀州藩主として徳川家康の第10子頼宣が若山城(現和歌山城)に入城し、紀州藩は徳川御三家として重きをなした。1869年、紀州藩は和歌山、田辺、新宮の3藩に分けられるが、71年の廃藩置県でそれぞれ藩から県に変わり、同年11月22日、3つの県と五條県の旧高野山領が統合され、和歌山県が誕生。1945年、死者1212人を出した和歌山市大空襲、和歌山城焼失、58年の和歌山城再建、71年の第26回国民体育大会「黒潮国体」、79年の箕島高校が甲子園で春夏連覇達成、2006年の平成の市町村合併などを経て現在に至る。

 記念式典は「未来へと紡ぐ、伝統と誇り」をテーマに実施。記念講演では東京都立大学教授などを務める政治史学者御厨(みくりや)貴氏が「和歌山の近代150年を問う」、印南町出身の芥川賞作家辻原登氏が「わが生地、わが聖地・熊野」と題して話す。県文化表彰受賞記念演奏では橋本市出身で初の女性ソロ尺八奏者の辻本好美さん、和歌山市出身でピアノ奏者の中谷政文氏がそれぞれ演奏を披露する。小中・高校生の作文発表「未来へのメッセージ」や映像上映「和歌山県のあゆみ」などもある。8月20日まで観覧者を募集中。無料。ホームページなどから応募でき、詳しくは150年記念式典事務局℡073―455―5721。

 巡回パネル展は田辺、新宮、和歌山などの順番で行い、日高地方では10月5日から11日まで、オークワロマンシティ御坊店。記念パネル展は11月19日から22日まで、県民文化会館特設展示室で行われる。