写真=今年度初日、児童の前であいさつするMELVのメンバー

 みなべ町の南部小学校PTAのOBらでつくる読み聞かせグループ「MELV」のボランティア活動が、2011年のスタートから丸10年を迎えた。絵本を通して笑顔を提供し、その日一日を楽しく過ごしてほしいとの願いを込め、児童たちにとっても楽しみな時間として定着。節目を迎えたメンバーは「これからも声が出る限り続けたい」とますます張り切っている。

 当時の玉井伸幸校長から「学校と地域の連携を強めたい」との依頼があり、PTAが中心となって図書室の本にバーコードを張る作業やエコキャップ運動などをスタート。その一環で、絵本の読み聞かせをしてほしいとのリクエストもあり、PTA役員だった芦硲宏仁(ひろみ)さん(47)=埴田=が中心となって、「私たちでやってみよう」と、11年2学期から読み聞かせボランティアをスタートさせた。

 学期ごとに6回(学年ごとに6週連続の木曜)、午前8時過ぎから25分までの間、学年に応じた絵本を自分たちで選んで披露。芦硲さんは読み聞かせの経験がなく、田辺市のビッグUで講習会を受講するなど手探りで続けてきた。

 当初は2人で始めたが、メンバーが入れ替わりながら12年から中岡あゆみさん、14年から西原祥代さん、16年からは久保三千代さんが加わり、現在はこの4人が2人ずつローテーションを組んで学校を訪問している。年間計18回に加え、11月の学校開放月間には読み聞かせスペシャルとして音楽付きで子どもたちを楽しませている。10年間での訪問回数は170回、読んだ絵本は延べ390冊に上る。

 今年度も1学期の読み聞かせが今月から始まった。10年の節目のスタートということで、初日は4人全員と、スタート時のPTA会長でMELVの会長も務めている西端俊彦さんも訪れ、子どもたちの前で勢ぞろいしてあいさつしたあと、いつも通り絵本を披露。初日は4年生が対象で、この時期に合わせた梅の話や、子どもたちが興味を持つようにとダンゴムシの絵本など3冊を読み聞かせた。児童たちは食い入るように見入り、物語の世界に引き込まれていた。

 堀籠愛莉さん(10)は「学期に1回、この日を楽しみにしています。今日の絵本も面白かったです」と笑顔いっぱい。湯川三生校長も「ありがたいの一言。10年も続けていただいて、南部小の財産です」と感謝した。

 「笑うと楽しくなる」が活動のモットー。児童が笑顔になれる絵本を選んでおり、「朝、面白い絵本を見ることで、一日を気分よく過ごしてほしい」との思いを込めている。メンバーは「私たちもここへ来るのが楽しみ。子どもたちの成長と笑顔が見られることが一番うれしい」と声をそろえる。当初からの唯一のメンバーである芦硲さんは「これからも体が続く限り、声が出なくなるまで続けていきたい」と笑った。