写真=本殿の前でお祓いを受けた釣り鐘型バルーンと参加者

 道成寺の2代目釣り鐘をよみがえらせた中世の人物、逸見(へんみ)万寿丸の生誕700年を祝う「万寿丸生誕七百年祭」が25日、日高川町土生の土生八幡神社と来迎寺で行われた。

 逸見万寿丸源清重(へんみまんじゅまるみなもとのきよしげ)は南北朝時代の人物で、1321年6月25日生まれ。私財を投じて道成寺本堂を20年かけて新築し、安珍清姫で釣り鐘が失われて以来430年ぶりに復活させた。この秋には釣り鐘が京都の妙満寺から“お里帰り”する。

 当日は生誕からちょうど700年に当たり、コロナ禍で万寿会(逸見万寿丸生誕七百年を祝う会)の役員や子孫に当たる人たち、関係者ら14人が出席。土生八幡神社で行事成功を祈願する奉告祭、来迎寺では万寿丸らの位牌奉納式を行った。奉告祭では、5月に東京銀座の歌舞伎座に掲げて「万寿丸生誕七百年」をアピールしてきた釣り鐘型バルーンを本殿前に設置してお披露目。バルーンは高さ3㍍、直径1・8㍍の大きなもので、「万寿丸」「鐘供養」の文字が入っている。間野常民宮司が一連の行事の成功を祈願して祝詞を捧げ、バルーンもお祓いした。

 続いて近くの来迎寺に移動し、万寿丸、母の覚性禅尼、兄の守王丸、息子の小五郎の位牌4基を奉納。位牌は子孫に当たる家から提供を受けた。 

 七百年祭に際し、万寿会の湯川宗一会長は「記念すべき生誕700年、秋のイベントが無事に行えることを祈っています。万寿丸はまだまだ地元でも知られていないので、『地域のヒーロー』として若い世代にも知ってもらえる機会になればと思います」、道成寺の小野俊成院主は「万寿丸生誕からちょうど700年に当たる日に宮司さんの祝詞を聞くことができ、感激の思いです」と話している。

 バルーンは、10月から11月の「釣鐘お里がえり」期間中は道成寺本堂で公開。そのほかの期間にも各所で展示を計画している。