写真=閉鎖が決まった旭化成和歌山工場

 御坊市藤田町藤井に和歌山工場を置く大手総合化学メーカーの旭化成株式会社(東京都・小堀秀毅代表取締役社長)は12日、主に土木用塗料に使用される「アクリルラテックス」と、住宅外壁用の「光触媒塗料」の事業から撤退し、生産拠点の同工場を閉鎖すると発表した。閉鎖時期は来年10月末の見通し。同工場は1920年に南海紙業として設立され、100年以上にわたる歴史に幕を下ろす。

 発表によると、アクリルラテックス事業は1970年に和歌山工場で生産を開始し、これまで約51年にわたって国内外の顧客へ製品を販売。光触媒塗料事業は2009年に同工場で生産を開始し、約12年間にわたって製品を提供してきたが、主に国内市場の需要落ち込みで両事業とも販売量が減少し、近年は収益性の低下も課題になっていた。

 市場環境の厳しさがさらに増す中、事業継続に向けた努力を続けてきたが、将来的に拡大戦略を描くことが難しいと判断。事業撤退と和歌山工場の閉鎖を決定した。今後のスケジュールは22年4月末で生産終了、同10月末で販売終了の予定。販売終了をもって工場閉鎖の見込みで、工場従業員38人は配置転換で対応するという。