写真=洪水被害の軽減へ事前放流(写真は切目川ダム)

 県は11日、洪水被害を軽減させるため、切目川ダム(印南町)、島ノ瀬ダム(みなべ町)、広川ダム(広川町)の事前放流を今出水期から運用すると発表した。

 事前放流は大雨が予想される場合にあらかじめダムを放流して、多くの貯水容量を確保する運用方法。ダムは通常、治水や利水用に水が貯められており、治水用の貯水は県の運用で放流することができるが、発電や農業のための利水用の貯水の事前放流は関係者との合意が必要。県では2011年9月に発生した紀伊半島大水害を教訓に、12年から県内で規模が大きい椿山ダム(日高川町)、二川ダム(有田川町)、七川ダム(古座川町)、殿山ダム(田辺市)の利水について、関西電力の合意を得て、事前放流を開始した。

 今回、切目川、島ノ瀬、広川の3つのダムも利水の農業関係者らの合意を得て事前放流できるようになり、これで県内7つのダム全てが事前放流できることになった。

 仁坂知事は同日の会見で、「最初の4つのダムは約10年間で延べ50回以上の事前放流を行い、洪水被害を軽減させてきた。これはいいということで国にも運用するよう進言していた。その後、国が運営する愛媛県のダムが大雨で氾濫して下流に被害(2018年7月・西日本豪雨)を出したことで、時の菅官房長官が事前放流を導入した」と経緯を説明した。