写真=慰霊碑の前で手を合わせる参列者

 田辺市龍神村殿原区の「連合軍戦没アメリカ将士之碑」で5日、太平洋戦争末期に同地区に墜落した米軍爆撃機B29搭乗兵の慰霊祭が営まれた。

 B29は1945年5月5日、日本の戦闘機との空中戦で殿原地区の西ノ谷に墜落。搭乗兵11人のうち7人が死亡、生存した4人は捕虜となり、3人が処刑され、1人は不明とされている。殿原の住民は戦時中にもかかわらず米兵を埋葬して供養する卒塔婆と十字架を建て、その後、惣大明神横に慰霊碑を建立。毎年慰霊祭を続けている。

 今年は昨年に続いて新型コロナ感染予防のため区役員らのみ少人数で行った。大応寺の松本周和住職らの読経の中、焼香していった。子どもの頃に墜落を目撃し、調査や語り部を続けている古久保健さん(83)は「夢をかなえることもできず散っていった搭乗兵の慰霊を続け、世界平和を願うことは私たちの使命。戦争は絶対にあかん」と決意新た。深瀬武文区長(67)は「今年で77回目、当面は100回を目標に若い世代に引き継いでいきたい」と思いを述べ、古久保さんの後継者として語り部の勉強をしている五味一平さん(43)は「先人が継いできたことを次につないでいきたい」と話した。