写真=研修所で湯上さんから紀州備長炭について話を聞く生徒

 日高高校中津分校の3年生が21日、総合学習の授業の一環として、日高川町高津尾の町製炭研修所を見学した。研修所の製炭職人で同校硬式野球部OBの湯上彰浩さん(33)=同町坂野川=から製炭技術や炭を使ったコーヒー焙煎について教わり、実際に薪を窯に入れたり、コーヒー豆の焙煎も体験。生徒たちは地元の特産を売り出し、地域活性化につなげようとの思いを強くした。

 生徒がビジネスの難しさや楽しさを考える機会として、湯上さんが紀州備長炭で焙煎、販売しているコーヒー豆を有効活用し、生徒たちと一緒に地域を盛り上げたいと、同校の網代涼佑教諭(37)が湯上さんに協力を依頼した。

 湯上さんは以前、看護師として働いていたが、元々、独立志向があり、訪問看護などの起業を考えていたとき、家業の製炭業を継ぐのも選択肢の一つと思い、製炭所を継いでいた弟とともに働こうと決意。コーヒー豆の焙煎については、2年前に岡山県で地元の大学生と炭焼き体験のバーベキューをした際、炭火でコーヒー豆を焙煎していたことがヒントとなり、初期投資があまりかからないことから始めたという。

 「紀州備長炭は、重くて硬くて品質が良く、世界一の備長炭」と言う湯上さん。備長炭でローストするコーヒー豆の商品名やパッケージは決まっていないが、口コミで注文を受けた客に100㌘800円で販売しており、大阪にあるミシュラン2つ星の人気焼き鳥店にも炭とコーヒー豆を納品しているという。

 今後、生徒たちはコーヒー豆の焙煎を手伝い、湯上さんと一緒に商品名やパッケージを考えて販売戦略を立てる。網代教諭は「既存の通販サイトを活用し、あくまで目標ですが、5月から6月ごろに販売できれば」とし、湯上さんの野球部の後輩に当たる小﨑純平君(17)は「地元の名産がもっと有名になってくれたらうれしい。僕も地域に貢献していきたいです」と話していた。