県は今年度から、梅などを食害する特定外来生物クビアカツヤカミキリの防除対策の研究を開始する。

 成虫の大きさは3~4㌢で、首回りの部分が赤いのが特徴。中国、朝鮮半島などに生息し、近年、海外からの建築用パレットに混じって日本に侵入したとみられる。2012年に愛知県で初めて見つかり、13年に埼玉県でも発見。その後、各地に広がり、大阪や京都などでも見つかっている。

 幼虫が梅、桜、桃などのバラ科の植物の樹体内を食害。樹勢を弱らせて枯死させることもあり、栃木県や徳島県の桃園が壊滅的な被害を受けている。

 県内では17年7月、かつらぎ町で成虫のオス1匹が初めて見つかり、19年11月に同町の桃とスモモで被害が確認された。その後、被害は拡大しており、今年3月末の県のまとめによると、かつらぎ町、橋本市、紀の川市、岩出市の4市町で桃、スモモ、梅で195本の被害樹となっている。

 日高地方ではいまのところ確認されていないが、梅などで発生すると、農家にとっては死活問題になりかねない。

 調査はうめ研究所、かき・もも研究所(紀の川市)、林業研究所(上富田町)の3施設が合同で実施。期間は23年度までの3年間で、梅、桜、桃、スモモに対する防除方法を調査する。うめ研究所は梅に対する薬剤の防除効果について、散布後の残効期間などを調べる。具体的には成虫が発生し始める6、7月ごろから開始し、捕獲したクビアカツヤカミキリを飼育したあと、成虫、幼虫、卵に対する薬剤効果などを把握する。かき・もも研究所は桃とスモモ、林業研究所は桜が対象。かき・もも研究所では防除薬の効果のほか、樹体をネットで覆うことによる防除効果などについても考察する。