由良町門前、ミカン農家の片山綾子さん(60)は、栽培している町特産のミカンを使った草木染を楽しんでいる。スカーフやポケットチーフなどを淡いクリーム色に仕上げており、知り合いらから「とてもきれい」と評判は上々。片山さんは「由良のミカンで、きれいな染め物ができることを多くの人に知ってもらいたい。将来的にまちのPRに活用できれば」と話している。

 今年2月、ミカンを冷凍保存するために表皮をむき、大量に発生した皮の再利用方法を考えていたところ、2、3年前に農業の仕事で雇っていた女性から聞いた「ミカンで染め物ができますよ」という言葉を思い出し、ミカンの表皮を使った草木染に挑戦した。

 方法はミカンの表皮、葉、剪定枝を天日干しで乾燥させて煮詰め、染液を作る。染める布を染液に漬けるなどの工程を行って完成する。実際に布に染色したところ、きれいな色に仕上がった。これまでにスカーフ、マスク、エコかばん、ポケットチーフなどをつくり、周囲からも「ミカンでこんなきれいな色に染めることができるとは。びっくりです」と好評。山名実町長にポケットチーフをプレゼントしたところ、山名町長も「ミカンの草木染を通じてまちをPRすることができる。観光の体験メニューで活用できるのでは」と興味津々で、片山さんは「ミカンの皮だけでなく、葉や枝が必要。ミカンの産地の由良ならではの染め物です。将来的に小学校の体験学習などに活用できればいいですね」と話している。