ある専門家が2017年から、高齢者サロンの参加者に行っているアンケートで、昨年より外出する機会が減っているかを調査した結果、「とても減っている」「減っている」と答えた人が2020年は64%となり、これまでの3年間平均の3倍以上だったという。新型コロナ感染を恐れた高齢者が外出や施設利用を控えることで、身体機能や認知機能に悪影響を与えていると警鐘を鳴らす専門家もいる。新型コロナはさまざまな悪影響を与えている。

 運動不足や人との関わりが少なると、健康リスクに直結するという。イギリスでは「孤独は一日にたばこ15本吸うのと同じくらい健康に害を与える」として孤独担当大臣を新設しているくらい。だからといって、急に外に出て体を動かしましょう、人ともっと関わりましょうといわれても、きっかけがなければ始めにくい。最も気軽な運動といえば、歩くことだろう。以前中国に旅行に行ったとき、朝になると近くの公園や広場に大勢集まって太極拳をしていたのが印象的だった。毎朝、決まった時間に近所の人たちで周辺を歩く「お散歩サロン」をしてみてはどうだろうか。例えば朝7時半の町内放送を合図に家の外に出て、周辺を歩く、ただそれだけ。

 自然と近所の人と顔を合わせ、あいさつを交わすきっかけになる。通学時間帯なら子どもの見守りにもなる。出てきていない人がいれば、声をかけるきっかけになる。もちろん交通安全にも注意しなければならない。安全に歩くための歩道が必要になるかもしれない。出てこられない人達のケアをどうすればいいか考えるようになる。こんなところから、まちづくりが始まるような気がする。(片)