美浜町三尾のカナダミュージアムなどが発信拠点となり、カナダ移民史の研究成果等を共有する公開オンライン講座「移民研究でつながるVOL・2」が27日に開かれた。

 三尾のカナダ移民について、カナダミュージアムと日本、カナダの研究者が連携して行う共同研究の一環で、ビデオ会議アプリZoomを使用し、国内外から研究者ら約40人が参加した。第2回となる今回は研究者の発表ではなく、三尾に住む移民者家族と三尾に滞在した東京の大学生の2つの視点から話題提供があった。

 初めに発表したのは、三尾で生まれ育ち、祖父や親戚が戦前にカナダに渡っている安藤妃史さん(63)で、「身内から見た三尾カナダ移民」がテーマ。安藤さんは、戦後帰国した祖父が「チー(紅茶)、ブレド(パン)、ハット(帽子)など片言の英語を話し、出かけるときは『シューズ』と言って靴を履かせてくれました」など当時のエピソードや、戦時中、アングラー収容所に入れられていたが、家族にもその話をしたがらなかったことなどを話した。祖父のほか、日本で幼少期を過ごし、カナダに渡ったが、日本人としてのアイデンティティーを持ち続けた男性や、両親と4人きょうだいがカナダへ渡ったのに、一人だけ三尾に残された女性など親戚の話も披露し、戦時中の苦しみや、離れた家族の辛さなどそれぞれの思いについて三尾やカナダの当時の状況を交えながら紹介した。

 後半は、昨年9月まで1年休学し、三尾に滞在していた東京大学経済学部の岩永淳志さんが、滞在中に一人の移民女性の生涯を取り上げて調査し、同ミュージアムで企画展も行った「アメリカ村の看板婆さんの一生」について講話した。