写真=SUP体験の子どもたちと大江さん

 コロナ禍のレジャーとして初心者でも楽しめるマリンスポーツ「SUP(サップ)」の人気が高まるなか、SUPを体験できる美浜町三尾のゲストハウス&バー「ダイヤモンドヘッド」も昨年の夏は多くの人が訪れた。今年はさらに海のレジャー体験を充実させ、SUPの魅力を広めようと、関西ではここだけの新たな体験メニューを追加。県の経営革新計画も申請し、承認された。

 ダイヤモンドヘッドのオーナー大江亮輔さん(38)は和歌山市出身。母親の出身地である美浜町で飲食、体験、宿泊をセットにしたビジネスを展開しようと、三尾の公民館(アメリカ村食堂すてぶすとん)の隣の古民家を購入し、2019年にダイヤモンドヘッドをオープンした。

 SUPは「スタンドアップパドルボード」の略で、サーフィンのようなボードの上に立ってパドルをこいで進む。ボードは大きく安定性が高く、子どもからお年寄りまで誰でも楽しむことができ、波に乗ったり、ボードの上でヨガや魚釣りをしたり、いろんな遊び方がある。ダイヤモンドヘッドはこのSUPを体験できる宿として、初心者にはインストラクター資格を持つ大江さんが一緒に海に出て指導。世界規模の旅行サイトやSNSで集客、おんぱく(御坊日高博覧会)にも参加し、SUPの認知度を高めてきた。

 昨年はコロナの影響で全国的にインバウンドが激減し、ダイヤモンドヘッドも大きな打撃となったが、1回目の緊急事態宣言解除後は県民限定の旅行補助事業やGo Toトラベル事業を通じてSUP体験希望者が多く訪れた。マリンスポーツが新たな生活様式に合ったレジャーであると手応えを感じる一方、「もっと特色を出していかないと」と痛感。今回、世界でも最新のアイテム「ハイドロフォイル」や「カイトウイング」を導入した。

 ハイドロフォイルはSUPボードの下に装着する水中翼で、うねりや潮流をとらえて揚力を生み、ボードを海面から浮き上がらせ、穏やかな波でも疾走できる。カイトウイングは軽量の翼で、ボード上で風にかざせば推進力が得られる。他にも、体験をドローンやアクションカメラから撮影して映像化するサービスも始め、あらゆるニーズに対応していく。この新しい取り組みは「マリンスポーツの新たなテーマ」として、経営目標などの基準を満たし、県の経営革新計画に認められた。

 三尾や産湯だけでなく遊泳禁止の煙樹ケ浜でもクルージングすることができるSUPは、けん引や安全確保と船の動力を生かすこともでき、漁師らの船の利活用にもつながる。大江さんは「美浜町に来たのは、釣り客が来て、地域にお金を落とさずに帰っていくだけの海をもっと観光資源に生かしたいと思ったから。人が集まれば店や地域も潤う。県のお墨付きももらい、皆さんの協力を得ながら海辺のビジネスモデルとなるよう頑張っていきます」と話している。