写真=魅力ある南部高校づくりを話す宮崎教育長

 県教育委員会の宮崎泉教育長は11日、みなべ町保健福祉センターで開いた県立高校再編骨子案の説明会の中で、南部高校食と農園科で早ければ2022年度から、県農林大学校と連携したカリキュラムや調理師免許を取得できるコースを新たにスタートさせる考えを明らかにした。生徒の全国公募も併せて行うことにしており、地域とともに魅力ある学校づくりに取り組むことを強調した。

 県立高校の再編では昨年8月、県教委の諮問機関「きのくに教育審議会」が、現在29校ある県立全日制高校を、今後15年でおよそ3分の2にあたる20校程度に再編するのが適正とする答申をまとめ提出。県教委では答申をもとに、各地域で説明会を実施したが、地域から高校がなくなることを心配する意見が多かった。これらも踏まえ、今月9日発表した高校再編の骨子案では、「現在の県立校を可能な限り存続させる」とし、具体的には県内を11地域に区分し、各地域に「地域中核高校」を各1校、地域の特色やニーズに応える「地域特性高校」を3~6校程度、特色ある教育活動を展開する「特任高校」を2校程度、職業系専門学科の拠点校「専門高校」を3~5校程度、複数の職業系専門教育を展開する「総合専門高校」を2校程度、総合学科の拠点校「総合学科高校」を1~2校程度、設置するとした。

 みなべ町で開かれた説明会には、宮崎教育長と清水博行企画監が参加。宮崎教育長は南部高校について「地域の学校としていかに発展させていくか考えている。食と農園科では22年度から、県立農林大学校(かつらぎ町、2年制)と連携できるシステムをつくっていきたい。高校卒業後は農林大学校に進学することを踏まえた授業を選択できるようにすることで、5年制でしっかりノウハウを学んでもらえる。そこからさらに大学に編入することもできるようにしたい。もう一つは同じく22年度から調理師免許を取得できるシステムも作っていく。それに合わせて生徒の全国公募もスタートさせたい。皆さんからはこうした方がいいとか、いろんな意見をいただきたい」とした。清水企画監は、南部高校は「地域特性高校」に当たるとし、「この地域にとってなくてはならない学校」とした。

 約50人の出席者からは「この地域をどのようにしていくのか、そのために高校はどうあるべきか、そういう視点を盛り込むべき」「南部高校は毎年定員割れしていることに対し、教委としての認識は」「農林大学校との連携はありがたい。今後ももっと地元の意見を吸い上げてほしい」などの意見が出され、宮崎教育長は「学校と地域住民、産業界などとネットワークを作って意見を聞かせてもらうことも必要だと考えている」と地域とともに学校づくりを進めていくことを強調した。