認知症になっても希望を持って暮らせることを認知症の人が自ら発信し、認知症に関する普及啓発を行う「認知症希望大使」について、御坊市は「あがらの総活躍希望大使」を創設し、17日、山際裕三さん(81)=薗=と塩路京さん(94)=藤田町吉田=の2人を任命する。すでに任命している県はあるが、市区町村では初めて。10日に開かれた市認知症施策推進協議体に関する会議の中で決まった。

 希望大使は、政府がとりまとめた認知症施策推進大綱で、認知症の本人が自ら発信することによって、認知症の正しい理解を普及啓発するための制度。国が創設を推進している。これまで静岡、香川の2県で任命が行われるなか、御坊市は市区町村単位での任命にする。

 先月、介護事業所から推薦を募り、この日の同協議体に関する会議で承認。山際さんは定年退職後、家庭菜園や日曜大工、音楽といった多くの趣味を楽しんでおり、なかでも特に没頭、続けているのがハーモニカで、楽譜があればどんな曲も演奏でき、知っている曲なら出始めのリズムを聞くと楽譜がなくても吹ける。自分の演奏を聴いてもらえるのが生きがい。認知症対応型デイサービスあがら花まるから「山際さんの活躍している姿を地域の皆さまに見て聞いてもらいたい」と推薦を受けた。

 塩路さんはJAの職員として20年勤務。若いころから華道や茶道を習い、また、字を書くことが好きで、いまは毎朝、般若心経を写経している。その達筆さから、筆耕を依頼されることも多く、「90年以上生きてきた人生の中で今が一番充実している」(本人)。あがら花まるグループホームⅡから「今の人生を前向きに捉えて暮らされていることを多くの方の希望となるよう伝えていきたい」と推薦された。

 任命式は17日午前10時から市役所市長応接室で。三浦源吾市長が任命証を授与する。

 協議体は医師、介護職、病院相談員、認知症本人、家族、行政関係者がメンバー。会議ではほかに、策定中の認知症施策推進基本計画案についても話し合った。