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県立医大 てんかんの重症度判断指標を発見

写真=会見に臨む中井助教

 県立医科大学は28日、脳の病気の一つである「てんかん」の重症度に関連する脳の状態を表す指標を、世界で初めて発見したと発表した。膨大な数の健常者とてんかん患者のデータを比較し、脳のネットワーク異常の数を検査したところ、てんかん患者の方が異常な数が多いことが判明。今後、薬の選択や手術の可否など、個人の症状に応じた治療への道を開くと期待されている。

 てんかんは脳の一部の神経細胞が過剰に反応するため脳機能に異常が起きる病気で、けいれん、しびれ、言葉が出ないなどのほか、ひどくなると全身けいれんや意識消失などの症状が出る。薬物治療で70~80%は改善するが、2つ以上の薬物で十分症状が止められない場合は「難治性てんかん」となり、外科治療が必要な場合もある。

 外科治療では症状の焦点(てんかんの震源地)となる脳の一部を切除し、70~80%は改善するが、中には効果がない場合もある。焦点の切除だけでは不十分で、焦点と脳の別の領域とのつながり(ネットワーク)も調べることで、問題点が明らかにできないかと考えたのが、今回の研究のきっかけとなった。

 脳のネットワークは血流などを基に調べる特殊な「安静時機能的MRI」を使って検査。脳の領域を388カ所に分けて、10年間にわたり蓄積してきた健常者582人のデータを基に、各領域の正常値を算出。25人の難治性部分てんかん患者のデータと比較したところ、てんかん患者の方が異常値を示す領域が多かった。また、罹患期間が長く、薬が効きにくく発作が多い患者ほど異常な領域が多いことも分かった。

 これまでてんかんの重症度を判断するには、薬の数の多さや罹病期間を基にしており、客観的に分かる数値的な指標はなかった。今回、ネットワークの異常数という形で、客観的な数値で重症度を判断する指標を見つけることに成功。どの程度の異常数があれば、どれだけ重症なのかという点については今後さらに研究が必要だが、異常が増える前に手術すべきかなど、薬の投与や手術の必要性を見極める判断基準になる。将来的には定期検査で安静時機能MRIを行い、てんかんの早期発見にもつなげられる。また、脳のネットワーク異常の数を測定した研究は、認知症やうつ病など、他の脳の病気の治療にも役立つ可能性があるという。

 28日には同大学脳神経外科学講座の中尾直之教授と中井康雄助教、生理学第1講座の金桶吉起教授が会見し、「てんかんは100人いたら3人がかかる身近な病気。うつ病などに比べいまだ偏見が持たれるが、偏見があると治療にも悪影響する。もっと理解が進んでほしい」と述べた。

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