写真=新しくなった3体の木像を見つめる赤松さん㊧と柴田さん

 みなべ町清川の本誓寺「ふるさと道場」近くのお堂に安置しているマリア像や観音像など3体の木像が、約30年ぶりに色直しされた。

 3体とも、同寺前住職の赤松宗典さん(72)所有で、親交のある秋田県の中川信行さん(79)が30年ほど前に彫った木像。マリア像は、1990年1月、風邪をこじらせて急逝した赤松さんの一人娘だった真理子ちゃん(当時9歳)をイメージ。観音像は、赤松さんと親交がある沖縄県糸満市の男性の一人息子だった春夫君がモチーフ。春夫君は91年3月、骨髄性白血病で16歳で亡くなった。短い命で亡くなった子どもたちが天で結ばれてほしいと、並べて祀ることにし、中川さんが制作を担当した、思いのこもった木像。92年からお堂を建立して安置している。小さい子どもの像は、少し後に田辺市内で交通事故で亡くなった子どもを追悼しようと彫られ、一緒に祀られている。

 30年近くたって色が薄れ、老朽化していた。話を聞いた龍神村を拠点に活動するエアブラシアーティストの柴田友助さん(65)が色直しを担当。表情もこれまでより明るく、色も光沢のある美しい仕上がりとなった。

 赤松さんは「親として感無量。新しい息吹をいただけるとは思ってもみなかった。宗教に関係なく、世界平和のシンボルとしてこれからも残していきたい」と感激。柴田さんは「暗いニュースが多い中、少しでも明るくなれば」と願っていた。